自動巻き時計は意外に不便だった

社会人なりたてのころ、国産メーカーの比較的リーズナブルな自動巻き腕時計を購入しました。
社会人たる物もしもの時に、電池式の時計の電池切れで時間が分からなくなって大事な商談に遅刻してはいけない、とまで考えてはいませんが、憧れがあって自動巻きの時計を購入しました。
歩く時に腕を振ると自動的にねじが巻かれるタイプで電池切れの心配がありません。腕を大きく振って歩くと、かすかにジジッと振動が腕に伝わりねじが巻かれるのが自分だけに分かります。腕時計を外して目の前でシャカシャカ振ればもっとはっきりジッコジッコと歯車の音がしてねじが巻かれていくのが分かります。
それで入社前にあえて毎日どこへ行くにも着けて散歩したり、得意げな気分になっていました。
ところが、社会人になって営業マンなので毎日カバンを持って結構な距離を歩き回っているのに時々時間が微妙にずれていることに頻繁に気づくようになりました。たくさん歩いているのにおかしいなと思ってよくよく考えると、私は他の男性と同様左手に腕時計を着けるのですが、重い営業カバンもいつも左手で持つことに気づきました。営業回りの最中に右手は大きく振って歩いているけれど、左手はカバンが重心を安定させる重りの役目をしてあまり左手が振られないようです。とはいっても、右利きなので定期を出したり、電話をしたりは右手でしなければ不便です。
そこで私は、カバンを持って一人で外回りの最中は腕時計を右手に付け替えて、人前に出るときにまた左手に戻すようにするようにしました。これだけでもかなり不便です。
さらに問題は、週末です。平日はそんなこんなで歩き回ってなんとかねじが巻かれるのですが、週末に時計を着けて出かけるような用事がなかったり、時計を忘れたりして着用率が下がったり、3日以上の連休になったりすると翌週初めぐらいにねじがちょっと怪しくなってきます。
それも、近所への大したことない外出にあえて腕時計をして出かけたり、家でテレビを見ながら寛いでいるときに片手で持ってシャカシャカ振ったり、それも忘れた翌週初めは会社で事務仕事をしながらシャカシャカ振ったりと、なんだか何のために自動巻きにしたのかわかりません。
でも、それでも使い続けてしまうのは、そうやって手をかけることによる愛着と、デザインのよさ、それに社会人になるときに手に入れた相棒という意識からかなと、今日もまた腕時計をシャカシャカ振りながら考えています。