おばあちゃんからの卒業祝い

高校を卒業して少ししたある日、おばあちゃんから電話がかかってきました。その内容が「3万円以内で好きなもの何でも買ってあげるから今から買い物に行こう」というもので、私は受話器越しで唖然としたのですが、とりあえず分かったと返事をし、近くの百貨店に行く事になりました。
百貨店に入って早々「今何が一番欲しい?」と聞かれて少し迷ったのですが、その時腕時計を1つも持っていなかった事を思い出しました。高校を卒業して社会人になったという事もあり、腕時計があった方が何かと便利だろうという事で、上限の3万円を使って腕時計を買ってもらいました。時計で3万円はまあ安い方だと今なら思うのですが、当時の私からしたら結構な額で、こんな高いもの本当に買ってもらっていいのかなと内心いたたまれない気持ちもあったのですが、どうやら高校の卒業祝いの品だったようで。それでも高いわ!(笑) と思いつつ、びっくりしたのと同時にとても嬉しかったのを覚えています。 ちなみに時計は青い革ベルトの上品なデザインで、とっても気に入っています。
それからというもの、会社には必ずこの腕時計を付けて出勤していたのですが、仕事の都合上腕時計を付けたり外したりする機会が多くあり、大切な時計なので注意は払っていたのですが、ある日ついに私の懸念していた事が起こってしまいました。いつものように退社をして、電車の時間の確認をしようと思い腕時計を見た時、そこに付いているはずの腕時計がなかったのです。
頭が真っ白になった私は急いで職場まで引き返し、自分が思い当たるありとあらゆる場所を探しました。しかし、時計はどこを探しても見つからず、終電も近かったのでその日は泣く泣く家に帰りました。次の日、私は少し早めに出勤し、朝っぱらから腕時計を探しました。しかしやっぱり見つからず、他の人達もぽつぽつと来はじめたので、デスクに座りノートパソコンを立ち上げようとしたその時。ノートパソコンが中途半端に開いている事に気付きました。そのままノートパソコンをパカッと立ち上げると、腕時計がキーボードの上で寝そべっていました。「えっ?私こんな所置いてたっけ?」と、意外すぎる形での腕時計との再会に一人で笑ってしまったのですが、見つかって本当に本当に良かったです。
この件があってからは仕事用に安い時計を買って、それを付けています。その代わり、おばあちゃんからもらった時計はお出掛け用で必ず身につけ愛用しています。愛用しすぎてベルト部分が色褪せてきていますが、数年経った今でも大切な私の宝物の1つです。ありがとうおばあちゃん!もう絶対なくしません!(涙)